平成29年3月11日(土)第56回卒業式 答辞

平成29年3月11日(土)第56回卒業式 答辞

 冬の寒さも次第に和らぎ、優しい春の光が差し込み始めた今日のこの良き日、私達八戸市医師会立八戸准看護学院56回生は卒業の時を迎えました。本日は私達の為に、学院長先生をはじめ、ご来賓の皆様方、諸先生方、保護者の方々の多数のご臨席のもとに、このような厳粛な式を挙げて頂き、卒業生一同、心より御礼申し上げます。また、先ほどは学院長先生、ご来賓の方々からは、お祝いと激励のお言葉を、在校生からは心温まる送辞を頂き、喜びとともに、新たな決意を胸に抱きました。

 二年前、私達は大きな期待と不安の中、准看護師を志し共に学びはじめました。入学当初は、初めて触れる専門用語や、学ぶべきことの多さに戸惑う日々が続きました。看護技術の演習では、一つ一つのことに時間がかかり上手くできず、何度も繰り返し練習を重ね、技術の習得に努めました。また、専門的な領域の勉強は学ぶほど奥が深く、先生方や周囲の仲間に助けられながら勉強する毎日でした。そのような不安や緊張の日々の中にも、遠足、運動会といった行事を通し親睦を図ることができ、同じ目標に向かって進む者同士、絆を深めることができたと思います。また戴帽式では、ナースキャップを頂き、ろうそくの灯りのもと厳かな雰囲気の中、ナイチンゲール誓詞を唱和したときの感動は忘れることができません。それとともに、看護という職業を目指す者としての責任の重さを実感し、身の引き締まる思いでした。

 臨地実習が始まると、看護の現場の実際を目で見て、肌で感じることで、これまで漠然と捉えていた知識を、より深く理解できるようになりました。しかし、一方で、自分の知識、技術や精神面の未熟さを痛感する毎日でした。緊張し、ぎこちない援助となり、目の前で痛みに苦しむ患者様に対し、どうしてよいか分からず、もどかしく悔しい思いをすることもありました。そんな中、患者様の「ありがとう」という言葉や笑顔に何度も励まされ、明日も頑張ろうと気持ちを新たにすることが出来ました。また、たくさんの失敗を重ねながらも、指導者の方の助言のもと技術に磨きをかけ、患者様から「うまくなったね。気持ちいいよ。」と喜んでいただけた時は本当に嬉しく思いました。

 近年、看護の分野は、より高度な看護技術を要する専門分野として注目されていますが、どんなに医療が高度化したとしても、人の命がたった一つのかげがえのないものであることに変わりはありません。多くの人が犠牲となった東日本大震災から六年目を迎えましたが、未だ行方不明の方々、心癒えぬまま過ごしておられる方も多くいらっしゃいます。自分たちが看護職として何ができるか考え、どのような時でも人々の助けになることが出来るよう、探究心を持って学習を続け、看護についての学びを深めていきたいです。
 一年生の皆さんは、これから、実習や講義、試験と多忙な日々を送ることになると重います。思うようにいかず悩むことや、困難に思えることが多々あるかもしれません。その時は一人で背負わず、指導者の皆様や学院の先生方に相談してみて下さい。共に学ぶ仲間と支え合いながら充実した学院生活を送って下さい。

 私達は多くの方々に支えられ、充実した二年間を過ごし、今日という日を迎えることが出来ました。不慣れな援助を快く引き受け学ぶ機会を与えて下さった患者様、未熟な私たちを辛抱強く見守り指導してくださった実習施設の皆様、時に厳しく時に温かく導いてくださった教務の先生方、互いに刺激し合い励まし合った仲間達、そして私たちの志を尊重し精一杯応援してくれた家族。私たちを温かく見守ってくださったすべての方々に、心から感謝申し上げます。

 私たちは今後、進学や就職と進む道は異なりますが、二年間の学びや思い出を胸に新たな一歩を踏み出します。この学校の卒業生であるという誇りを胸に、地域の方々の期待と信頼に応えてゆけるよう努力を重ねてゆくことを固く誓い、答辞とさせていただきます。

卒業生代表 田中絵莉



 

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