「食中毒を防ぐためには」

八戸市総合健診センター 虻川 輝夫


30才の主婦の方から質問がきております。この季節、食中毒が気にかかりま
す。どんな病気で、どのようにしてかかり、予防する方法がありましたら教え
て下さい。

Q1:食中毒の原因はなんですか?

A1:一言でいうと病原性を有する菌に汚染された食物を食べたために起こる
主として腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状や発熱をきたす一連の病気です。

Q2:普通の大腸菌と病原性大腸菌O?157とはどのように違うのですか?

A2:多くの大腸菌は腸内では常在菌で無害で必要な菌ですが、大腸菌の中に
は0ー157のように病原性の強い菌があります。特徴は毒性が強い、感染力
が強い、感染してから症状が出るまでの期間が長いということです。毒性が強
いということはベロ毒素を出すこと、感染力が強いということは少量の菌でも
発病することです。潜伏期が長い(4?7日)ということは汚染された食物を
同定することが難しく、汚染された食物を知らずに多くの人が食べて集団発生
する危険があります。

Q3:ベロ毒素とは分かり易くいうとどのようなものでしょうか?

A3:ベロ毒素は腸の粘膜を壊して出血させますが、ベロ毒素の怖いのは血液
に入ってから赤血球を溶かし(溶血といいますが)、最悪の場合は溶血性尿毒
症症候群へと進行し、子供や高齢者では死に至る危険があります。また、血管
内に血栓をつくることで血小板の減少が起こる血栓性血小板減少性紫斑病は脳
症状や腎不全など重篤な症状を呈し、成人にまれに発生し死に至ることがあり
ます。

Q4:汚染された食物や水(井戸水)の飲食で感染することはわかりましたが、
初期症状や経過はどのようなものでしょうか?

A4:感染経路は経口感染ですが潜伏期が長いということにも問題はあります。
鋭い腹痛、水のような下痢、続いて鮮血のような下痢、発熱、嘔吐などですが、
血便は重症化のはじまりですので早い対応が必要となります。

Q5:0ー157は感染力の強い菌で少ない菌量で発病するといわれますが?

A5:サルモネラ菌などは100万個以上が体内に入らないと感染・発病しま
せんが、0?157は100個たらずで発病し、施設などで集団発生する要因
ともなっております。

Q6:0ー157以外の食中毒菌にはどのようなものがありますか?

A6:気温が上がって温度が高くなる夏は食中毒に注意が必要です。今年は海
水温も高いといわれ腸炎ビブリオには特に注意しなくてはなりません。八戸は
よく魚を食べる所ですが、腸炎ビブリオは真水、酸に弱く、60度C、10分
間で菌は死滅します。この季節、魚はよく洗って、できれば焼いて食べること
をお勧めします。サルモネラ菌は動物の腸などに住んでおり、肉や卵が汚染さ
れます。この菌は、低温や乾燥に強く、冷蔵庫は菌が増える環境にあり冷蔵庫
を過信しないようにしましょう。よく洗って食べる。長く保存しないで早めに
食べる。できれば熱を加えて食べるのが食中毒を防ぐコツです。

 また、インフルエンザの季節だけでなく食材を汚染させないために、よく手
を洗うことをお勧めいたします。


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