「イボについて」

高橋皮膚科 高橋 秀東


 「水いぼ」(伝染性軟属腫)はウイルスにより生じる疣の一種で、人間にで
きるウイルス性の疣にはこの他に尋常性疣餮、青年性偏平疣餮などがあります。
これは放置しても約2年位でウイルスに対する抗体ができて自然消失しますし、
大きな合併症もないので放置させる医師もいます。問題は他の子供達に移すこ
とです。

 治療法はいろいろあり患者さんにあわして、放置も含めて治療法を選択しま
す。「水いぼ」は感染してすぐ出てきませんので、肉眼で見える疣を全部とっ
てもすでに移っていて見えてないのもあり、それが何日かして疣として出てき
ますので、疣を見つけたら他へ移る前に早めに加療すると完治します。

 「水いぼ」はプールでの感染が多くなったとされており、塩素による皮脂の
除去→皮膚の防御機能低下、体の接触、タオル・ビート板の共用などが言われ
ています。タオル・ビート板は他人に貸さない、使用後よく乾燥させできれば
消毒し、プールから上がる時は十分にシャワーを浴びるなどの注意が必要です。
アトピー性皮膚炎やアトピックスキンをもった子は体に引っ掻き傷や掻いた跡
がありますので「水いぼ」に感染し易く、感染すると引っ掻くことにより体中
に拡がりますので特に注意が必要です。

 アタマジラミは主に髪に直接触れるもの、例えば帽子、ヘアブラッシ、タオ
ル、枕、寝具などを介して拡がり、また、保育園や幼稚園でのお昼寝の時間な
どに頭髪の直接の接触やプールのロッカーの共同使用が原因となることもあり
ますのでこれらに注意することが必要です。

治療薬は現在日本国内ではスミスリンパウダーの一種類しかなく、これを1
日1回頭髪に約7g 程度散布して1時間ほどそのままにしてから洗い流します。
これを2日おきに3?4回繰り返すと大体よいのですが、卵は殺虫剤に強いの
で孵化して幼虫が出現してくる10日?半月後に再度加療すれば充分です。成
虫の除去には梳櫛で頭髪を梳くのも効果はありますが、卵の除去はなかなかで
きません。 

 シラミが駆除されても卵の抜け殻や死んだ卵は長期間頭髪に付着しています。
卵とフケの見分け方は、フケは手で容易に払いのけられ、フケが髪の毛幹に筒
状にこびりついた状態のヘアキャストと呼ばれるものは指でつまむと毛に沿っ
て動かすことができますが、アタマジラミの卵はセメント様物質で固着されて
おり指でつまんでも容易に動かないことで見分けができます。


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