「じんましんについて」

八戸市立市民病院 石倉 一夫


1.Q:じんましんとはどんな皮膚病ですか。

A:じんましんの特徴は三つあります。一つはかゆいこと。二つめは皮膚の発
疹が短時間で長くても一日以内で自然に消えること。三つめは発疹の種類が膨
疹(ほうしん)であること。そのような発疹と人によっては頭痛、腹痛、呼吸
が苦しい、血圧低下などを伴うことがあります。

2.Q:じんましんはどのようにしておこりますか。

A:皮膚の中にマスト細胞とよばれる細胞が存在します。マスト細胞はその細
胞の中にヒスタミンなどを入れたマスト顆粒というものをもっていて、アレル
ギー的な機序、非アレルギーな機序によりその顆粒を細胞の外に排出しヒスク
ミンを遊離します。そのヒタミンが血管に作用し、血管の透過性を高め血管周
囲の限局性の浮腫をおこします、これが膨疹といわれるものです。またヒスタ
ミンは皮膚の神経終末に作用しかゆみを起こします。

3.Q:じんましんの原因はどのようなものですか。

A:じんましんは種々の要因でおこります。まずあげられるのは食餌性じんま
しんです。食餌についてはあとで詳しく述べます。次に薬剤性じんましんです。
薬が原因となるものです。全身性の病気が原因となる場合もあります。かぜな
どの感染が原因となるものもあります。

次に病巣感染アレルギー性じんましんです。虫歯、慢性の扁桃腺炎が原因とな
る場合があります。難治性のじんましんをみるとまずこれを疑います。ストレ
スが原因となることもあり、物理的な剌激が原因となることがあります。冷た
い刺激で起こる寒冷じんましん、温かい刺激で起こる温熱じんましん、圧迫、
こすれる刺激で起こるものは人工じんましんと呼ばれるものです。虫さされが
原因となることもあります。蜂に刺されたあとよくじんましんを起こします。
植物などにさわったあと原因となる抗原が皮膚から進入してじんましんをおこ
すこともあります。コリン性じんましんという緊張、発汗などの刺激がもとに
なって起こる特殊なものもあります。

その他、いろいろあり、じんましんという疾患は理屈のうえではこの人はこの
原因で起こっていますよと説明がつく病気に入りますが実際には慢性じんまし
んの多くはなかなか原因がつかめきれないというのが現状です。最初の食餌性
というのをもう少し詳しく説明すると、食餌が関与するものは二つあって一つ
はアレルギー的なもので起こるものです。サバのアレルギーとかカニのアレル
ギーというものです。もうーつは仮性アレルゲンと呼ばれているものです。我
々が食べている食品中にはじんましんを起こすヒスタミンを遊離させる物質、
又はヒスタミン様物質が含まれています。魚介類では昔から云われている青み
の魚、サバ、イワシ、サンマなどです。カニ、エビなどの甲殻類も入ります。
肉では豚肉、サラミ。穀物ではそば、ナッツ類。野菜ではさといも、たけのこ、
トマト、ほうれんそう、なすなどです。

その他イチゴ、チョコレートなどもヒスタミンをマスト細胞から遊離させるよ
うに作用します。一方、人のほうからみるとヒスタミンの感受性というのは人
により個人差がはげしくてすごく強い人もいれば、弱い人もいます。同じ人で
もその時のコンデションによりまた違います。調子のよい時は大丈夫でも悪い
時はダメという具合です。これが同じ物を食べても一人だけじんましんを起こ
したり、その人でも起こったり、起こらなかったりしますのでよけい原因をわ
かりにくくしている要因です。

4.Q:すぐ病院にきて治療をうけたほうがよいじんましんは?

A;ごく軽いじんましんは自然消失しますが、全身にいっぱいでている時、発
熱、腹痛、頭痛、呼吸が苦しいという全身症状を伴っている場合はぜひ受診す
るようにしましょう。

5.Q:そのほか紹介したいことはありますか 。

A:運動誘発性じんましんというのがあります。これはある一定の運動負荷を
加えるとじんましんがおこるものである特定の食品が関与しており、小麦が多
いといわれています。朝、パンを食べて、出勤中に走ったらじんましんがでた
という具合です。珍しいものですがこのようなものもあります。


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