「守ろう視力〜自分でできる目の健康管理〜」


はるみ眼科・循環器内科クリニック 向井田 泰子


 皆さん,今日は。日々診療しておりますと,患者さんからよく質問を受けま
す。そうした質問は,その患者さんが最も不安に感じている,疑問に思ってい
らっしゃる事なのです。その疑問に的確にお答えする事ができれば,不安はと
り除かれ,安心して治療を受けていただける。ひいてはその患者さんが目の健
康を維持する上でのお手伝いができると考えています。本日はよく受ける質問
にお答えする形式で,ご自分で日常できる事などを含めて話を進めて参ります。

Q1 視力がいいから私の目は大丈夫ですね?
 そうとは限りません。なぜなら進行するまで視力が下がらない病気があるか
らです。緑内障と糖尿病性網膜症です。緑内障は視野が欠けていく病気ですが,
周りの視野から欠けていくため,中心の視野の機能を表す視力は病気が進行す
るまで下がりません。また糖尿病性網膜症でも網膜の中心に腫れや出血が及ば
ないと自覚症状が出にくいのです。従ってたとえ自覚症状がなくても,緑内障
の家族歴のある方,40歳以上の方(緑内障の有病率が高くなるためです),糖

尿病をお持ちの方は診察や検診を受けましょう。それから,眼鏡を作成する時
は眼鏡店ではなく,眼科で合わせましょう。眼鏡店では中心の視力さえ良けれ
ば,たとえ病気があったとしても気づかれません。眼科では病気の有無を確認
した上で眼鏡を処方します。そして時には片方ずつ目を隠してみましょう。眼
は二つある事でそれぞれの眼の悪い部分をカバーして病気を自覚しにくくして
しまいます。片目で見て初めて病気に気づく方は多いですよ。

Q2 緑内障と言われて出された目薬。つけてもちっとも良く見えません。止
めていいですか?
 つけてもちっとも良くならないし,つけ忘れたが何も悪い事は起こらなかっ
た。それが緑内障の治療の特徴です。なぜなら,もともと自覚症状が現れにく
い病気である上に,ほとんどの場合何年もかかってゆっくり進行していくので,
治療をさぼっても悪くなった感じがしないのです。しかし一度悪くなってしま
った部分は元に戻せません。きちんと治療し続ければ進行を抑える事ができま
す。ちゃんと目薬をつけた方,さぼってしまった方では5年後,10年後になっ
て差が出てきます。

Q3 緑内障と言われて出された目薬。充血してゴロゴロします。だから止め
ていました。
 緑内障薬は様々な種類があり,それぞれに優れた部分を持っているのと同時
に出やすい副作用があります。我慢できる程度のものであればいいのですが,
治療を止めたくなるほどつらい時は合った薬に変更できないか主治医に相談し
てみましょう。

Q4 糖尿病のコントロールは良くなったと言われています。眼科はもう通わ
なくてもいいですか?
 コントロールが良くてもきちんと眼科に通って下さい。なぜならその時のコ
ントロールの状況と網膜症の状態は必ずしも一致しないのです。血糖の値が良
くても指示された時期には眼科を受診しましょう。

Q5 孫が先生に勧められたという眼鏡。可哀想でかけさせたくありません。
 勝手にはずしてはいけない眼鏡があります。視力を育てる目的で処方された
眼鏡です。小学校低学年くらいまでのお子さんの視力は完成されたものではな
く成長過程にあります。その間にピントの合った状態で物をみていないと視力
が育ちません。弱視という,眼鏡をかけても視力の出ない眼になってしまう事
があるのです。