「子どもの目の発達と病気について」


大島眼科 大島 真理


視力の発達
 生後1か月では0.01〜0.02,3か月で0.1程度,6か月で0.2と徐々に発達し
てゆき,5〜6歳で1.0となる。

屈折異常
 近視,遠視および乱視
 近視は眼軸が長いため網膜にピントが合わない状態で,凹レンズで矯正する。
遠視は眼軸が短いためピントが合わないもので,凸レンズで矯正する。乱視の
場合は縦方向と横方向でピントが異なる。

両眼視機能
 左右両方の目でものを見る力のことで,遠近感,立体感に関与する。斜視や
弱視があると両眼視機能が低下する。

斜視
 外斜視,内斜視,上下斜視等に分類される。
1.外斜視:恒常性外斜視,間欠性外斜視とこれに関連して外斜位がある。治
療は主に手術,輻輳訓練である。間欠性の場合は両眼視が保たれていれば手術
は急がなくてよい。

2.内斜視:乳児内斜視,調節性内斜視,部分調節性内斜視がある。乳児内斜
視は早期に手術,調節性の場合は遠視が原因であるためまず眼鏡矯正する。ま
た,実際は内斜視でないがそう見えるものに偽内斜視がある。

弱視
 眼底に器質的疾患がないにもかかわらず視力が出ないものをいう。

1.屈折性弱視:遠視や乱視が強いため視力が発達しないもの。早期の眼鏡矯
正が必要である。両眼の度が同程度なら視力が出やすい。

2.不同視弱視:左右で屈折の差が大きいために片眼の視力が出ないもの。眼
鏡矯正に加えて遮蔽法による訓練を行う。片方の視力がよい場合には発見が遅
れがちで,しっかり治療しないと視力が出にくい。

3.斜視弱視:斜視が原因のもの。斜視眼では網膜の中心に目標の像が映らな
いことになり,視力が発達しない。斜視があっても両眼を交互に使える場合は
弱視にならない。

4.形態覚遮断弱視:白内障や高度の眼瞼下垂があり,生後一定期間ものを見
ることができなかった場合視力が発達しない。乳幼児期に眼帯を長期間した場
合にもなることがある。

健診の重要性
 斜視の場合は家族が気づくことが多いが,視力についてはわかりにくく,特
に片眼の視力低下は見逃されることが多い。弱視は治療が早いほど効果が期待
できるので,3歳児検診や就学時健診を忘れずに受け,異常があれば早めに受
診してほしい。