「定期健診と予防接種の上手な受け方」


すわクリニック 後藤 麻美


 まずは,共通することから。
 第一に,かかりつけの小児科医にご相談下さい。子どもの身体をよく理解し
発達,心の問題まで目を配ることができるのは小児科医ですから。受診時には,
前もって健診や予防接種の曜日,時間帯を確認しておきましょう。
 お子さんの様子を一番よく知っている方が連れて来て下さい。誰かに頼む時
には,気になる点や聞いておきたい点をメモにして渡すなどして,できるだけ
多くの情報を知らせて下さい。
 日頃からよくお子さんの状態を観察しておくことが大切です。母子手帳を有
効に利用しましょう。

健診について
 1か月健診は出生した場所でお母さんの産褥健診と一緒に受けていることも
多いかと思いますが,なるべく小児科医による診察を受けて欲しいものです。
 1か月,3〜4か月,6〜7か月,9〜10か月,1歳,1歳6か月,2歳,
3歳,その後はお誕生日ごとに健診を受けましょう。八戸市では1歳6か月及
び3歳以外は個別健診です。月齢・年齢によるチェックすべきポイントという
ものがあります。
 健診を,育児相談の機会として利用しましょう。病気の早期発見,早期治療
のためだけでなく,より健康に育てるためのアドバイスをもらえるチャンスで
す。実際,病気よりも事故から子どもを守ることは大切なことです。ちょっと
した不注意が子どもの運命を左右します。そんなアドバイスも小児科医は行っ
ています。
 出生前小児科保健指導(prenatal pediatric visit プレネイタル・ビジッ
ト)を実施している自治体もあります。出生前に,小児科医とのコミニュケー
ションがとれれば,出生後も一貫した保健指導,医療を受けることができるで
しょう。

予防接種について
 ポリオとBCG以外は個別接種です。個別にスケジュールを組み,時期が来
たら早めに接種を心掛けましょう。年齢や時期,他の予防接種との間隔など,
注意が必要です。感染症や熱性けいれん・他の病気にかかった後には,主治医
によく確認してから接種に臨んで下さい。
 生ワクチン(ポリオ,BCG,麻疹,風疹,おたふくかぜ,みずぼうそう等)
及び不活化ワクチン(三種混合,二種混合,日本脳炎,インフルエンザ等)が
あります。
 予診票の記入に際し,予防接種の手引きをよく読んで,疑問な点はよく確か
め,納得したうえで接種を受けて下さい。
 予防接種の後に起きる副反応について,疑わしい場合はかかりつけ医に相談
することです。
 1歳過ぎたら麻疹を優先させて下さい。麻疹は恐ろしい病気です。日本脳炎
も治療法が無い今,予防が大切です。任意接種のみずぼうそうや,おたふくか
ぜのワクチンも積極的に受けましょう。
 子育ては楽なことではないかもしれませんが,楽しく育てることが,子ども
にも楽しい生活,楽しい人生になるように思います。大人が楽をすることだけ
を考えませんように。子どもにとって,何が大切かを考えながら賢い育児を楽
しく続けたいものです。

 終了後,特に予防接種についてはたくさんの質問を受けました。保護者に配
付されている予防接種の説明書のみでは不十分なことを実感し,このような広
報活動も小児科医としての大切な仕事と痛感いたしました。