「中高年に多い目の病気」


吹上眼科 久保 勝文


 私にとって初めての健康教室での講演。テーマは, 1 .白内障  2 .涙が
出る疾患  3 .糖尿病とした。コンピュータとプロジェクターの調子が悪く,
再度調整したため,若干遅れてのスタートとなった。

1 .白内障はレンズの働きをする水晶体が濁る病気である。原因は加齢によ
るもので,80歳以上になるとほぼ100%となる。当院ではこれを日帰り手術で
行っている。手術は局所麻酔下で20〜30分で終了する。終了後は 1 時間休憩
して頂き帰宅となる。その後最初の 1 週間は 4 日程度通院して頂き,後は 1
週間〜 1 か月ごとの診察となる。患者さんに重い病気がなければ問題なく日
帰りで行えることを説明した。白内障の手術時期については,視力は特に関係
なく,本人が困った時に行ったら良いと考えている。基本的に手遅れはない。
白内障手術を行い 5 年くらいすると,眼内レンズを入れた袋が濁ることがあ
るが,これは10分程度の外来治療で治すことが出来ると説明した。

2 .涙が出る疾患:涙道閉塞について説明した。先日 NHK に出演した映像が
あったので,これをパソコンに取り込み放映した。時間は10分程度。涙の疾患
に関しては,涙の量が少ないために起きるドライアイが有名であるが,逆に涙
道閉塞により涙が多くなる疾患はあまり有名ではない。しかし,臨床の場では
困っている患者さんがかなり多い。当院では,閉塞部を一旦穿破した後,涙管
シリコンチューブ挿入術を行うことで成功率90%以上であり,また涙嚢鼻腔吻
合術で成功率97%となっている(市内の先生方のところで流涙の患者さんがい
らっしゃいましたら是非ご紹介下さい。これらの手術も日帰りで行っています)。

3 .糖尿病性網膜症は成人中途失明原因の第 1 位である。大学病院では日常
よく見られる疾患であったが開業してとんと出会っていない。実際は少ないも
のかも? と考えていたが,先日硝子体出血の患者さんが来院され,八戸赤十
字病院に紹介し手術を行い経過良好である。糖尿病で視力障害が出て,あきら
めているような患者さんがいらっしゃいましたらご相談下さいと講演を締めく
くった。

 講演は計 2 時間連続で行い,最後に質問コーナーを設けた。すると,講演
内容とは関係なく,日頃からの目の疾患・不満に対する質問がほとんどであっ
た。会場の部屋は小さいながら講演を聞きにいらした方は多く,圧倒された。

 最後になりますが,白内障,涙嚢鼻腔吻合術の際には,かかりつけ医に,投
薬内容のご教示および全身チェック並びに心電図,胸部写真をお願いしており
ます。快く引き受けて下さいました先生方に感謝いたしますと共にこれからも
宜しくお願い申し上げます。