「近視と仮性近視について」
熊谷眼科医院 熊谷 俊一
相談:小学校4年生の子供が学校での眼科検診の結果、再検査を指示されまし
た。その後、眼科で視力検査をしたら、右が0.6,左が0.8、眼鏡で矯正
すると左右とも1.2でした。眼鏡をかける必要があるのでしょうか。
Q1:近視とはどのような症状?
A1:
イ.おおざっぱに眼球の構造と視力の説明。
ロ.近視は眼球が長くなったため、網膜(カメラのフィルムに相当)の前に
像を結ぶのでピンぼけの状態になる。
ハ.仮性近視は水晶体(カメラのレンズに相当)が一時的に厚くなったため
ピンぼけに見える状態。
ニ.眼球が長くなった近視は、眼球の長さを元に戻すことができないので治
療で視力を改善させることができないため、眼鏡による視力矯正が必要
になる。
ホ.仮性近視は一過性に弾力性のある水晶体が厚さを増しただけなので、治
療により水晶体の厚さを減らし視力を回復させる事ができる。
Q2:どうしてなるのか?治療できるのか?
A2:
イ.子供の目は日常生活上、授業や家庭での勉強、TVやファミコンなど比
較的近くを見る生活であり、このような状態では眼は緊張状態にあり水
晶体は厚くなっている。
ロ.外来での眼の緊張状態を解く目薬を用いて近視の有無の検査をする。
ハ.仮性近視と判断されたなら、眼の緊張を解く点眼薬の治療を開始する。
ニ.視力が回復すれば治療終了。
Q3:相談者の場合は?
A3:視力の程度からすれば低学年では仮性近視が考えられ、高学年では近視
かもしれない。しかし裸眼視力が0.6や0.8でも近視の子はいる。実際
に検査をしないと断定できない。しかし、もしこの子が近視であったとして
も0.8の視力では日常生活や学校の授業に支障を来すような視力ではない
ので、このまま定期的に視力検査し様子を見ることになると思います。
Q4:予防法
A4:
イ.近業が近視を助長するので近業を控えれば良いのであるが、実際の日常
生活ではまず無理である。
ロ.昔から言われているように、暗いところでは本など読まない。食べ物の
好き嫌いしない、遠くの景色をぼんやりと眺め眼の緊張状態を解く(望
遠訓練)、最近の傾向としては、ファミコン等のTVゲームは控える。
(外来を受診するお母さん方はこの件を子供に、先生から強く言って下
さいと良くおっしゃいます。)