「ロコモって何?」

本田忠=本田整形外科クリニック院長、八戸市在住

 体が思うように動かないのを年のせいにして諦めていませんか。日本は世界
に誇る長寿国ですが、その平均寿命に、体(運動器)の寿命が追い付いていま
せん。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、「立つ」「歩く」と
いった動作が困難になり、要介護や寝たきりになってしまうことです。略して
”ロコモ”といいます。運動機能の低下が原因です。

 要介護・要支援認定の30%以上は、「関節の病気」や「転倒による骨折」
が原因です。現在、ロコモな方とその予備軍は、全国に4700万人いると推
測されています。

 誰でも年とともに寝たきりになる可能性が高まりますから、健康寿命を延ば
すためのロコトレ(ロコモーショントレーニング)を早めに始めることが大切
です。

 【なぜロコモになるの?】
 原因は、主に三つあります。
まず「バランス能力の低下」と「筋力の低下」。この二つは転倒のリスクを高
めます。三つ目は「骨や関節の病気」。中でも骨がスカスカになる「骨粗しょ
う症」、膝の関節軟骨がすり減る「変形性膝(しつ)関節症」、腰の神経が圧
迫される「せき柱管狭窄(きょうさく)」が代表的です。

 【七つのロコチェック】
 ロコモは、以下の「七つのロコチェック」項目のうち、一つでも当てはまれ
ば疑ってください。

 a 片脚立ちで靴下がはけない

 b 家の中でつまずいたり滑ったりする

 c 階段を上るのに手すりが必要である

 d 横断歩道を青信号で渡り切れない

 e 15分くらい続けて歩けない

 f 2キロ程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰
   るのが困難である

 g 家の中のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難
   である

 少しでもロコモが疑われたら、お近くの「整形外科専門医」のチェックを受
けてください。