「お薬手帳1」

片町善之=つつみの薬局薬剤師、八戸市在住

 皆さんは「お薬手帳」というものをお聞きになったことがあるでしょうか?
既にお持ちで活用されている方、あるいは初めて耳にした方もいらっしゃるか
もしれません。

 お薬手帳は一言で表すならば、安全に薬を使うための「相棒」と言えるでし
ょう。『どこで、いつ、何の薬をもらったか』を全て記憶しておけばいいので
すが、薬の名前だけでも聞き慣れないカタカナなどが多く、なかなか覚えにく
いかもしれません。

 お薬手帳があれば処方日や処方された薬などを簡単に記録することができ、
薬の重複や良くない飲み合わせを防ぐことが可能です。それにはご自宅に保管
するのではなく、医療機関や薬局を利用するときに必ず医師、歯科医師、薬剤
師に見せてください。

 患者さまがご自分で処方を記録する必要はほとんどありません。直接薬をも
らう所にご提出いただければ、その日の処方内容を直接記入したり、シールを
貼ったりして記録していただけます。

 手帳をお忘れになっても、記録のシールや紙などをもらえることがあります。
ここで大切なのは、その日のうちに記録しておくことです。そうでないと情報
が前後する可能性があり、薬の経緯が正しく伝わらないことがあります。その
場合は同じような薬が重なったり、好ましくない飲み合わせが発生したりする
かもしれません。

 記録は毎回してもらいましょう。同じ薬が続くからといって記録を飛ばした
りすると、他の人が見て『○月△日以降記録がないから、この薬はもう飲んで
ないのだな』という誤解が生まれます。
また、手帳は必ず1冊にまとめましょう。医療機関ごとに別々の手帳を使うと、
記録が一元化できず他に飲んでいる薬があるかどうか分からなくなってしまい
ます。

 このようにお薬手帳は、患者さまご自身が把握できるだけでなく、受診され
る医療機関の間で適正に薬を使う際の伝言でもあるのです。例えば入院すると
き、または退院した後、「それまでどのような薬を使っていたか」という治療
の経緯が、お薬手帳を通じて医療スタッフに伝わり、患者さまお一人お一人に
応じた情報が提供できるのです。