「お薬手帳2」

 前回はお薬手帳の役割についてご説明しました。今回はさらにお薬手帳を活
用するためのお話です。

 処方された薬を記録してもらうことが主な使い方ですが、処方内容以外のこ
とをご自身で記入するとさらに力を発揮します。例えば、前回の薬はよく効い
た、薬を飲んだら眠かった、検査結果がこんな風だった、次回はこんなことを
医療機関で聞いてみよう、などです。

 時には備忘録として、また通院、治療の日記のように使うこともできます。
食生活や嗜好(しこう)品などライフスタイルを書き込むことで、医療スタッ
フの目に留まれば、食べ物などによる薬への影響を未然に防ぐことが可能です。

 薬局、薬店で市販されている一般用医薬品を購入する際も役立ちます。購入
した医薬品や健康食品などの購入日、商品名などを記録しておくとより安心し
て服用できます。

 購入する店舗では、服用中の薬剤との飲み合わせや、体質、疾患による不適
切な薬剤について薬剤師、登録販売者から話を聞くことができます。

 2009年6月の薬事法改正により、一般用医薬品が副作用の起きやすさで
3種類に分類され、販売方法も変わりました。医療用成分が一般用医薬品に移
行した、いわゆるスイッチOTC薬も最近増えてきました。

 これにより、薬剤師から安全に服用していただくために説明の文書が交付さ
れることがありますので、挟んだり、貼ったりしておくと便利です。

 ここまでは日常生活の中でのお話でしたが、時には非常事態にも役に立ちま
す。

 1.何らかの原因で意識不明の状態になったとき。救急治療において、患者さ
んがどのような薬で治療しているか、は大変重要な情報です。
 覚えていた薬を伝えられない状態に陥ったとき、お薬手帳が医療スタッフに
代弁してくれます。一刻を争う場合の治療開始までの時間短縮にも有効です。

 2.昨年発生した大震災。かかりつけの病院が診療不能で、手元の薬も無くな
ってしまった。臨時の診療施設では何の薬だったか分からず、患者さまご自身
も分からない。
 そんなときにいつもの薬を記入した「お薬手帳」を持っていた方は、円滑に
診察を受けて薬をもらうことができました。

 いかがでしょう。お薬手帳は利用することでさまざまな医療上のメリットが
あります。

 最後に、ご家族の方もお薬手帳の保管場所を把握、確認しておいてください。
いざ、というときにすぐ持ち出せるようにするためです。