「股関節が痛くなったら@」

藤井一晃=八戸平和病院整形外科科長、八戸市在住

 【股関節は重要な関節です】

 股関節と聞いて「どこ?」と思う方も多いのではないでしょうか?「太もも
の付け根」と聞いて、やっとここかと思われるかもしれません。そんななじみ
のない体の関節ですが、体の中では非常に重要な働きをしています。

 歩行のみならず、ちょっとした動作でも欠かせない関節であるため、少しで
も障害を来すと歩行困難となり、最悪の場合には寝たきりになることもありま
す。

 私は現在まで15年間、八戸地区で股関節疾患の治療を専門とし、数多くの
患者さまと接し、治療させていただくことができました。その経験を含め、数
回の連載で股関節疾患、特に変形性股関節症とその治療についてご紹介したい
と思います。

 【股関節の構造】

 股関節の構造自体はそれほど難しくありません。大腿(だいたい)骨(太も
もの骨)の付け根に丸い部分があり、骨頭と呼ばれています。それに対し骨盤
側に臼蓋(きゅうがい)というくぼみがあり、その間に軟骨が存在し、うまく
かみ合っています(図1)。

 片足で立つと約3倍、階段の上り下りでは約5倍の負荷が股関節にかかると
言われており、歩行する際には体重60?の方で300?前後の負荷がかかって
いることになります。人体では一番大きな関節であり、一番負担のかかる関節
となっています。

 【股関節疾患になると】

 股関節疾患で最も多いのが変形性股関節症です。骨頭と臼蓋間の軟骨がすり
減り、変形を生じ、疼痛(とうつう)を来す疾患です(図2)。

 患者さんのほとんどが女性であり、年齢が若いうちは筋力、軟骨が保たれて
いるため症状が出ることが少ないですが、50歳前後に筋力低下、軟骨のすり
減りが進行し痛みが出てきます。歩行困難となるばかりでなく、股関節が原因
で膝、腰まで疼痛が生じ、夜間も疼痛のため眠れなくなることがあります。

 次回は変形性股関節症の原因、症状について掲載いたします。

写真の説明
(図1)正常股関節(上)          (図2)変形性股関節症