「股関節が痛くなったらD」

 数多く手術をしていると、難しい例も多くなってきます。遠方の方や、他の
施設では手術はしない方がいい、と言われた患者さんも受診していただけるよ
うになり、八戸でできないことはないと言えるよう、努力してまいりました。
今回は難しい股関節手術について、ご紹介いたします。

 【股関節高位脱臼】

 股関節が完全に脱臼している状態を高位脱臼と言います。以前は小児の股関
節検診が行われていなかったため、適切な診断、治療が行われず、成人になっ
てから歩けなくなり始めて、病院を受診されます。

 日常生活が非常に困難にもかかわらず、手術は難しいため、行わない方がい
いと言われていました。しかし、現在では手術方法の進歩により正常の位置に
関節を作ることが可能になり、私は積極的に手術を行っています=写真1=。

 【人工関節の緩みに対する手術】

 人工関節は機械であるため耐久年数があります。緩んだ場合には、人工関節
を入れ替える手術が必要となりますが、患者さん自身も再手術に対しては消極
的になるため、状態が悪くなってから受診される場合が多く見られます。

 ある患者さんは人工関節が完全に脱臼し、歩けない状態で受診されました。
骨の欠損が多くなるなど再手術は困難ですが、人工骨とプレートを併用するこ
とによりどのような場合でも対処可能となりました=写真2=。

 【手術を怖がらないで】

 手術は怖いという方も多いと思います。しかしながら、手術をしないために
苦しんでいる方が多いのも事実です。整形外科ではいきなり手術だ!というこ
とはありません。股関節が痛くなったら、まず、怖がらずに受診してください。
私自身もさらに努力を重ね、関節外科専門医として成績を上げ、八戸には関節
痛で困っている方が無くなるようにしたいと思っています。

〈写真説明〉

【写真1】高位脱臼と術後


【写真2】再置換術前と再置換術後