「先天性股関節脱臼検診の心配@」

盛島利文=青森県立はまなす医療療育センター園長

 【股関節は重要な関節です】

 以前の本欄で、生後3、4カ月児の先天性股関節脱臼検診について、整形外
科医の直接診察と原則レントゲン写真撮影で行っている八戸地域の検診は、良
好な効果を挙げていると述べたことがあります。

 最近、日本小児股関節研究会では、歩行開始後に発見された先天性股関節脱
臼例が報告され、問題提起されるようになりました。私の勤務する病院にも八
戸市以外の地域から6カ月を過ぎて受診される子どもが、以前は4、5年に1
人でしたが、ここ2、3年は毎年1人です。

 なぜ、遅くなって見つかるのが問題かと言いますと、検診後3〜6カ月の寝
返りをする前の時期が、手術によらないリーメンビューゲルというバンドを着
けるだけで治ることが多いからです。それ以降は手術が必要となる可能性が高
くなります。また、脱臼したままの状態が長く続きますと、股関節の骨の成長
が不十分となり、治療後も脱臼しやすい形を残してしまうからです。

 遅くなってから医療機関を受診する原因は、3、4カ月時期の検診を受けて
いない、検診で指摘されたが医療機関への受診が遅れた、検診で見逃された、
などがあります。さらにその背景として、行政の啓蒙(けいもう)の問題、保
護者の意識の問題もありますが、検診医の技量不足や制度の不備も指摘されて
います。

 全国的な少子化から個別医療機関受診の検診制度をとっているため受診率が
低くなった、予防法の普及や発生率低下から疾患自体の理解が低くなった、医
師不足あるいは行政の嘱託がなくなり整形外科医が関わっていない、などの傾
向により、以前よりも遅れての診断となっていると考えられています。

 現在の八戸市の検診体制は恵まれていると他地域の先生からお褒めの言葉も
いただいておりますが、検診体制が不十分な青森県内の他の地域についても考
えていかなくてはなりません。

 いろいろな方策が考えられますが、その一つとして、宮城方式、松戸方式と
いった方法があります。誰が検診医でも分かるよう、チェック票でスクリーニ
ングを行い、点数により整形外科医の受診を勧めている方法です。詳細につい
てはまた次回に報告します。