「ドクターヘリ着陸」

今明秀=八戸市立市民病院救命救急センター所長

 救急隊からドクターヘリの要請がドクターヘリ通信室に入ると、すぐに機長
へ連絡が行き、ヘリコプターのエンジンをスタートさせます。通常2分から3
分で離陸可能です。同時に通報内容は、医師と看護師が聞き、医学的出動判断
をします。

 通信室は、着陸地点について現地の消防本部と相談します。着陸地点はあら
かじめ県内消防本部と打ち合わせ済みです。打ち合わせ済みの場所に着陸する
のか、それより現場に近い空き地を探して着陸させるのかは、通信室と消防の
相談で決まります。ヘリコプターが着陸するには、原則として35メートル四
方の空き地が必要です。

 ヘリコプター着陸時には、砂埃や強い風が出ます。これに対して、消防は前
もって地面に水をまいて砂埃の巻き上げを予防します。周囲に人が近づかない
ようにします。ドクターヘリで出動した医師、看護師は、ヘリコプターのプロ
ペラが停止してから機外へ出ます。これも安全重視です。現場に先着している
救急隊、消防隊と協力して治療を開始します。現場あるいは救急車内で緊急処
置を行い、ヘリコプターに搬入します。

 それからヘリコプターの医師は、患者の容体に合った受け入れ病院を探しま
す。あらかじめ登録されている高度機能を持つ病院へ携帯電話を入れるのです。
病院が決まればヘリコプターは、消防隊の支援を受けながら、安全に離陸しま
す。

 受け入れ病院のヘリポートには、近ければ数分でヘリコプターがやってきま
す。2009年4月現在で、ヘリポートを間近に持つ病院は、青森県内に3カ
所しかありません(十和田市立病院、青森労災病院、当院)。

 なぜほかの大病院にヘリポートがないのか、不思議に思いませんか。これま
で、ヘリコプター搬送の重要性を感じていなかったからです。ヘリポートの工
事費用より優先させるべき病院施設の整備があったからです。

 それでは、ヘリポートのない病院へ患者をヘリコプターで運び入れるにはど
うするのでしょうか。これにはものすごいマンパワーが必要です。病院から数
キロ離れた河川敷などの臨時離発着場に消防隊、救急車、迎えの医師が出向き
ます。消防隊が水まきした後にヘリコプターが着陸します。そこから病院へ向
けて救急車で移動します。

 ドクターヘリの実現を受けて、多くの病院がヘリポート工事に取り掛かりま
す。ドクターヘリは、青森県の救急医療を確実に引っ張り上げるはずです。得
だヘリ!



「提供・今明秀医師」