「はしか」

高橋秀知=高橋こどもクリニック院長、八戸市在住

 「はしか」は、子どもの軽い病気と思うかもしれません。しかし、はしか=
麻疹(ましん)は重症の感染症です。39度前後の高熱が7〜10日ほど続き、
大変つらいものです。

 そして、麻疹にかかった人のうち約30%は気管支炎や肺炎、脳炎などの合
併症を起こし、重い後遺症が残ることや、時には命にかかわることもあります。

 麻疹ウイルスに効く薬はないため、今のところ有効な治療法がありません。
しかし、麻疹はワクチンで防げることから、世界中でワクチン接種を推進し、
麻疹の撲滅を目指しています。

 感染力はインフルエンザの何倍も強く、免疫が不十分だと、患者さんと同じ
部屋にいるだけでうつってしまいます。日本で大流行した2001年には約2
8万人がかかり、約80人が亡くなっています。07年の春も流行し、高校、
大学を中心に多くの学校が休校に追い込まれました。なぜなのでしょうか?

 それは、ワクチンの効力には限界があり、接種してから数年たつと麻疹に対
する免疫力が弱くなる人が出てくるからなのです。

 そのため現在では確実に予防するため、麻疹ワクチン(実際は麻疹と風疹の
混合ワクチンを使用)を1回接種から2回接種にして、さらに08年度から5
年間の時限措置として中学1年生、高校3年生になると定期接種が無料で受け
られるようになっています。

 もちろん、その他の年齢でもワクチン接種は受けられますが、1万円前後の
費用が掛かります。せっかくのチャンスです。ぜひ、予防接種を受けましょう。

2009年度麻疹・風疹ワクチン 定期予防接種対象者
第1期 生後12カ月以上24カ月未満
第2期 2003年4月2日〜04年4月1日生まれ
(小学校入学前1年間の幼児=本年度内に6歳)
第3期 1996年4月2日〜97年4月1日生まれ
(中学1年生=本年度内に13歳)
第4期 1991年4月2日〜92年4月1日生まれ
(高校3年生=本年度内に18歳)
※第3、4期は2012年度末までの時限措置