「子宮頸(けい)がん」

倉本雅規=倉本クリニック婦人科産科院長、八戸市在住

「子宮頸(けい)がんは予防できます。あなたは検診を。お嬢さんにはワクチン
を」というポスターを最近ご覧になったことはありませんか。子宮頸がんはヒト
パピローマウイルス(HPV)感染が原因であるということを発見した、ツルハ
ウゼン博士には一昨年のノーベル医学生理学賞が贈られました。

 ウイルスが原因ですからワクチンの注射で予防ができます。子宮頸がんの原因
となるHPVには多くの型があるのですが、主に16・18型が発がんと関係し
ていると言われています。この16・18型に対するワクチンにより子宮頸がん
は70%が予防できます。

 ワクチン接種が勧められるのは、まず11歳から14歳、次に45歳までの子
宮頚部高度異形成などのない方です。費用も高額(1万5千円〜1万6千円、3
回)なので国の補助が望まれます。世界の多くの国では公費による接種が行われ
ています。

 それでは子宮頸がんの検診はどうでしょう。子宮頸がん検診は有効性が証明さ
れた検診です。子宮がんによる死亡、または母性の喪失を減らすには、検診の受
診率を今の20%から欧米並みの80%に上げることです。

 八戸地域の検診はどうなっているのでしょう。平成19年度は八戸市総合健診
センターで8553人、日母健診という診療所で行う検診が4639人、八戸西
健診プラザで3861人、五戸町健診センターで1168人、青森県総合健診セ
ンターのバス検診で1956人、合計2万177人が子宮頸がん検診を受けてい
ます。その結果進行がん4人、上皮内がん24人が発見されて治療を受けていま
す。

 八戸総合健診センターだけのデータですが、20歳代の若年は要精検率が5・
9%(全体では2・0%)、上皮内がんも0・3%(全体では0・1%)と高率
です。若い人こそ子宮がん検診を受けなくてはなりません。

 八戸市と階上町は恵まれています。それは、20歳以上ならいつでも八戸市内
の産婦人科クリニックを受診すれば、年に1回は子宮がん検診が1000円(階
上町は500円)で受けられるからです。1050円の追加で超音波検診も受け
られます。皆さん、子宮がん検診を受けましょう。特に若い人は。