「新しいニキビ治療薬」

高橋秀東=高橋皮膚科院長、八戸市在住

 ニキビは思春期に、主に男性ホルモンによって皮脂の分泌が亢進(こうしん)
し、皮脂の出てくる毛穴の出口辺りが異常角化して詰まるため、脂腺性毛包の
多い顔、胸、背中などに発症します。

 つまり、最初は炎症の無い面皰(めんぽう、毛穴に皮脂等の詰まった状態)
から始まり、中に角質や皮脂がたまって、そこにアクネ菌が増殖し、遊離脂肪
酸の産生、白血球の活性化等を引き起こし、炎症性のニキビに進行します。

 今まで日本では、非炎症性の面皰には面皰圧子という専用器具での圧出、角
質を融解する硫黄製剤の外用、炎症性のニキビには内服または外用抗菌薬等に
よる治療、また最近では双方に効果のあるケミカルピーリングが行われてきま
した。

 一方、諸外国では早くからアダパレン(レチノイド様作用を有するナフトエ
酸誘導体)等の効果的な外用剤が広く使われていましたが、日本ではそれらが
承認されておらず使用できないのが現状でありました。

 それが昨年七月に承認され、十月に発売となり、それに合わせて日本で初め
て「ざ瘡(そう)治療ガイドライン」が日本皮膚科学会より発表されました。
諸外国ではニキビ治療の標準治療薬として使われてきたアダパレンの日本初上
陸により、日本のニキビ治療が大きく変わることが予想されます。

 アダパレンは毛穴の細胞の角化異常を正常化させて面皰を減少させる作用が
認められており、また最近、炎症性ニキビに対する抗炎症効果の報告もありま
す。

 副作用として治療開始二週間以内に、皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥脱(は
くだつ)、紅斑、痒み等が発生することがありますが、保湿剤の併用などでう
まく対処していけば外用二週間後にはだいぶ軽快します。

 以上、新しいニキビの治療薬を紹介しましたが、正しい睡眠、バランスのよ
い食事、ストレスの解消、洗顔などを欠かさないこと等は今までと同様、大切
であります。