「輸血1」

岡本道孝=八戸市立市民病院診療局長・外科、輸血療法委員長、八戸市在住

 輸血は、高度に進歩した現在の医療を支える大切な治療法の一つです。しか
し血液はいまだに人工的に造ることができず、長期間の保存もできません。し
たがって輸血に必要な血液は人の善意に頼らざるを得ません。移動採血車や献
血ルームで休むことなく献血業務を継続し、年間を通じて安定的に輸血に必要
な血液を確保することは、大変重要であります。

 輸血に用いられる血液製剤には、新鮮血や保存血などの全血製剤のほかに、
ヘモグロビン補給のための赤血球製剤(濃厚赤血球液)、血小板補給のための
血小板製剤(濃厚血小板液)、そして血漿(けっしょう)因子補給のための血
漿製剤(新鮮凍結血漿)などの分画血液製剤があり、献血の採血バッグを遠心
機にかけてそれぞれ分離して作られています。

 表に示したように青森県内の献血者数は、平成3年の約10万人をピークに
減少を続け、平成7年以降は7万人台、平成19年以降には5万人台となり、
ピーク時の半数にまで落ち込んできています。

 全国的にも同様でありますが、近年は特に若い人たちの献血が著しく減少し
てきています。若いうちに献血経験がないと、成人後も献血しない傾向がある
といわれており、事態は深刻化しております。

 献血者数が著しく減少しているにもかかわらず、血液製剤供給数が大きく減
っていないのは、昭和61年から始まった400ml献血の影響であります(以
前は200ml献血のみ)。

 ちなみに平成21年には全血採血の80・7%が400ml献血でした。しか
し製剤供給数も平成14年をピークにして減少してきているのであります。

 今後ますます少子高齢化が進んでいきますと、将来必要な献血量が足りなく
なってしまう恐れがあり、若年層はもちろん各年代で支えあっていくことが今
後ますます大切になってまいります。

 特に若い人たちが献血に関心を持ち、その重要性を知っていただくために、
輸血医療の現場に居る私たちが啓発活動などに取り組む必要があるものと考え
ております。

 輸血によってのみ命を救える患者さんのために、市民・県民の皆さま方の善
意の献血を心からお願いいたします。