「ドーピング防止活動と薬剤師B」

 前回は具体的な違反例を紹介しました。その中で、ぜんそくの治療に使用さ
れている「サルブタモール」という気管支拡張剤について、「2010年まで
禁止薬物に指定されていたが、一部の剤形が2011年より除外された」とい
うお話をしました。今回はこの点について少し詳しく説明したいと思います。

 ドーピングで禁止されている薬物は、「禁止表国際基準」(以下、「禁止表」)
に掲載されています。これは毎年更新され、1月1日から改訂版が採用となり
ます。すなわち、昨年の競技会はすべて「2011年禁止表」、今年の競技会
は「2012年禁止表」に沿って検査が行われます。

 サルブタモールには吸入剤と内服薬があり、全ての使用が禁止されていまし
た。これが「2009年禁止表」では、
「吸入剤」に限っては「治療目的使用に係る除外措置の申請」(これを「TU
E申請」と言います)を行い、認められた時のみ使用できる事となりました。

 しかし翌年の「2010年禁止表」では、前記TUE申請は不要となったも
のの、検査時に「使用の申告」は必要であるというように、その扱い方が変更
になりました。

 さらにこれが「2011年禁止表」では「申請」も「申告」も不要となりま
した。このように改訂は毎年行われますので、十分な注意が必要です。

 今回はサルブタモールを例に挙げましたが、同じ気管支拡張剤の「サルメテ
ロール」という薬剤も、「吸入剤」については同じ扱いです。両薬剤とも、「
内服薬」は前に記載のTUE申請が必要です。

 また最新情報ですが、2011年禁止表では禁止されていた「ホルモテロー
ル」というぜんそく治療薬があります。これが「吸入薬」に限り本年1月1日
より、規定された使用量の範囲内であればTUE申請が不要となりました。

 ただし、やはり「内服薬」や、吸入薬であっても規定量を超える使用につい
ては禁止されており、TUE申請は必要となります。

 このほかにもぜんそくの治療に用いる吸入薬はさまざまありますが、この3
成分以外の薬剤は、たとえ吸入薬であってもこの申請が必要です。

 国内での各種競技会におけるドーピング検査は、国体やインターハイなどで
も実施されています。競技者の皆さんが「うっかりドーピング」によって悲し
む事が起きないよう、スポーツファーマシストがお手伝いできればと思います。