「こころのかぜ[うつ病]について正しく知ろう」


津島 孝仁


Q1 こころのかぜ[うつ病]ってどういうこと?
A:うつ病とはこころの病気で,かぜのように,誰でも(特別な人ではなく)
罹る可能性のある病気のことです(以前は理解が得られず[怠け病]などと誤
解されていたこともあるのです)。

Q 2こころの病気って何?
A:専門用語では「精神障害」といいます。

Q3 うつ病以外にも心の病気はあるの?
A:統合失調症や神経症などがあります。

Q4 じゃどんな人が心の病気になりやすいの?
A:まじめな人で無理をしてしまい,休み方が下手な人が多いようです。

Q5 どんな人がうつ病になりやすいの?
A:几帳面でまじめ,執着的な人,完ぺき主義的な人が多いようです。

Q6 何かきっかけでもあるの?
A:喪失体験,働きすぎ,引越し,出産,家族の成員の変化,退職などがあり
ます。

Q7 どれくらいの割合でうつ病になるの?
A:現在,約2%の人がなっています(1人の人が生涯にわたって発病する率
は6.5%だといわれています)。

Q8 何歳で発病するの?
A:思春期以降,いつでも可能性がありますが,老年期(65歳以降)に多いよ
うです。

Q9 うつ病以外に,うつ症状の出る病気はあるの?
A:中枢神経系の脳血管障害,脳腫瘍,パーキンソンなど,内分泌系では甲状
腺疾患など,炎症性疾患では関節リウマチなど,精神疾患ではアルコール症な
ど多くの病気にあります。

Q10 うつ病の原因は?
A:セロトニンという脳内の神経伝達物質の関与が言われていますが,確定し
ていません。

Q11 じゃ予防は可能なんですね?
A:ストレスをためずに,趣味などを持って気分転換をはかり,無理をせずう
まく休むことです。

Q12 うつ病にもタイプがあるの?
A:あります。1不安焦燥型2抑うつ型3身体症状型(仮面うつ病)4季節性。

Q13 うつ症状以外に,どんな症状があるの?
A:心気,不安,胸部圧迫感,抑うつ気分,意欲低下,罪責感,希死念慮,不
眠,食欲低下,体重減少などがあります。

Q14 治療法は?
A:1薬物療法2精神療法3認知行動療法4光線療法などがあります。

Q15 治療の原則は?
 A:次のことをよく理解することです。
 1本人,家族が“うつ”を病気として自覚。
 2気持ちの持ちよう,努力ではよくならない。
 3無理せず,薬を飲んで休養し回復を待つ。
 4必ずよくなることを知る。
 5人生の重要な決断(転職,退職,離婚など)はしない。
 6よくなっていく経過の中で,ちょっとしたぶり返しがあっても焦らない。
 7「がんばれ」「あまえるな」は禁句とする。
 8疲れには十分に気をつける。
 9心理的葛藤にはカウンセリング。

Q16 入院治療か外来治療かの判断は?
 A:自殺念慮があるかどうかによります。

Q17 再発予防には?
 A:軽快後,1年間の薬物維持療法です。

Q18 予後(再発率)は?
 A:うつ病を繰り返すたびに高くなります。
 1.初回の場合,次回再発率は50%。
 2.2回目の場合は75%。
 3.3回目の場合は90%。
になります。