耳鼻科のお話


洲﨑耳鼻咽喉科医院 洲﨑 洋


 耳鼻科は外科系で,五感の内,聴覚・嗅覚・味覚の三つの感覚と呼吸・飲食
・話す・バランスをとるという普段の生活に欠かせない器官の病気を治療しま
す。
 先ずは,耳鼻科で扱う癌,頭頚部癌についてです。
 頭頚部癌は,八戸市内では年間約50人が発症しており,これが原因での死
亡数は全国で年間6千人を認めます(全癌の2%)。
 原因として,過量喫煙・飲酒習慣・口腔内不衛生が挙げられます。喫煙と飲
酒は多重癌を誘発し,増加傾向にあります。
 また,飲酒にて顔が赤くなる方をフラッシャーと呼びますが,フラッシャー
の方はさらに癌へのリスクが高まるので要注意です。
 しかし,高齢になると死亡原因は癌より肺炎が高くなります。
 高齢者のかかる肺炎は誤嚥性肺炎が多くなるのですが,これは口腔ケアでか
なり抑えられます。80歳時に20本の歯を残せるよう口腔ケアに励んで下さ
い。
 次に聞こえについてです。
 難聴には外耳と中耳に起因する伝音性難聴,蝸牛に起因する内耳性難聴,蝸
牛より中枢に起因する後迷路性難聴があります。これら難聴はどの年代にも生
じますが,年代ごとに難聴になる病気や予防法,治療法等をお話ししたいと思
います。
 まずは新生児についてです。生まれつきの難聴は正常新生児の1,000人に1~
2人,ハイリスク新生児にいたっては100人に3~5人も見られます。言語発達
の最も重要な時期は生後6か月までと言われていますので,早期発見,早期対
応で言語発達を促し社会適応を可能にしなければなりません。そのため新生児
聴覚スクリーニングの100%の普及が望まれます。
 次は乳児~幼児期についてです。小さい子供は,鼻やのどの細菌やウイルス
が耳に到達し易く,このため大人に比べ子供は中耳炎にかかりやすくなってい
ます。また,免疫が未熟なうちから集団保育を受ける機会が増えていること,
抗生剤が効かない細菌が増加していること等から反復性中耳炎が増加していま
す。これが原因となり難治性中耳炎に移行しやすくなるため,その都度しっか
りと治療することが望まれます。また,約2週間保育園を休むことが可能であ
れば免疫力も回復し,次の感染にかかりにくくなります。とにかく耐性菌問題
は深刻化していますので,医療側では適正な抗生剤を使用し,家族側ではその
抗生剤を指示通りにしっかり内服させ,患児の鼻汁排出を積極的にしてあげる
ことが必要です。
 次は学童期~思春期についてです。おたふく風邪による片側の急性高度感音
難聴(ムンプス難聴)が約1万人に1人発症すると言われています。幼児期に
発症してもその時期に難聴を訴える子は少なく,小学生になり難聴に気付くか
周りから指摘されて受診するケースが多いようです。万が一の確率ではありま
すが,ムンプス難聴は現在のところ治療法が無いためワクチン接種による予防
をお勧めします。他に小学校中学年の女児に好発する機能性難聴があります。
背景には社会環境の複雑化があげられ,耳鼻科医の他,精神神経科医や心療内
科医の診療が必要になります。
 次は成人の多数の耳疾患から老人性難聴についてお話したいと思います。
 20歳代から耳の老化は始まり,加齢による難聴を自覚するのは早い人で35歳,
平均は65歳です。難聴に気付いても年だから仕方が無いとか一日中家に居るか
ら構わない等でいると,聴覚刺激が無いため脳の聞こえ担当部分が加速をつけ
て衰えていき,肝心なときに機能しなくなってしまいます。では,難聴を自覚
したときどうすべきか?まずは耳鼻科を受診し,補聴器を勧められたら積極的
に補聴器装用を考えてみてはいかがでしょう。ただし,補聴器を付けるとかえ
って聞こえづらいと言われる方も少なくありません。これはより良い補聴を得
るためのいくつかの注意点に気を付けることで解決します。このことは医師や
専門店で十分に説明及び指導を受けて下さい。より良い補聴を得ることで,積
極的に社会参加をしていただき,豊かな経験や知恵を生かし,社会活性化の一
端を担っていただきたいと思います。